2009年11月5日木曜日

矯正に関する専門家の意見について

 書字の矯正について、教育心理学や精神科医などの専門家の本を何冊か読んで、気になることを書きます。

 共通していることは、無理な矯正はしないほうがよいということですが、一例として、いまは簡便にウィキペディアを引用します。

 『日本においても未だに強制的な利き手の「矯正」のもたらす悪影響が認知されていないことと、左利きに対する偏見を持つ者がいまだ多いため、強引な変更が行われることがある。

 さらに悪いケースでは、無理な矯正のストレスが原因で吃音になってしまっても、その原因が無理な矯正にあることを理解できずに、吃音への偏見を嫌がってさらに根性論を振りかざして子供の吃音を矯正しようとする親も存在し、いたずらに症状を悪化させ、子供を苦しめることもある。

 一部には我が子をクリエイティブな能力のある子供に育てようと、右利きの子供を左利きにしようとする変更の例もあるが、同様に悪影響があるため全く薦められない。』(「左利き」項より)

 この引用にあるように、まだ一般社会に左利きに対する偏見があるので、この知見は価値あるものだと思います。他の意見も、矯正は全くだめとか、3才ぐらいまでならよいとか、多少の違いはありますが、無理をしないことは共通しています。


 ここまではよいのですが、私の考えでは、この先が全く抜けているのが残念です。

 左利きの子を矯正しない、という正しい道の入口まで導いたのはよいが、その入口が問題です。なぜなら、そこには、漢字システムという完全な右システムが待っているからです。

 これでは大きな片手落ちになるのではないだろうか。漢字システムは、専門外だというならそうかも知れない。しかし、それでは研究対象の子どもたちに対して、不親切で不十分と言わざるを得ない。だれのための教育心理学か精神医学かと疑問が浮かんくる。

 子どもが(大人もそうですが)、わざわざ手をくねらせて字を書くような姿勢はよくない、これは社会問題だ、という感覚が必要ではないでしょうか。

 矯正の問題は、右システムに苦しむ左利きの人間のためにあるといえる。それなら、右システムの漢字システムまで切り込んで、検討すべきだと思います。そこで、左文字(鏡文字)を真剣に検討すべきだと思います。