2009年10月17日土曜日

なぜ左文字がよいか②

 前回の内容をもう一度繰り返します。

 右利きは右腕を使い、左利きは左腕を使う、という基本的な条件が一番重要です。これは、右利きは左脳、左利きは右脳の機能の関係の重要さと同じだと思います。

 そして、右腕と左腕は、可動域と可動方向が違います。つまり、左右は違うようにしか動かないし、動けない。対照的にしか動けない。それが身体の自然だからです。

 スポーツで見ると、たとえば、野球は、球を捕るとき、右利きは右利き用のグローブを使うし、左利きは左利き用のグローブを使うので何も不都合がない。システムが左右の違いを吸収できている。

 ところが、書字行為は、右利きは問題ないとしても、左利きでも右用のグローブを使うしかない状態になる。なぜなら左用のグローブがないから。これでは十分な捕球動作が出来ない。

 問題は、書字行為に使う漢字システムは、右用のグローブしかないことです。漢字という社会システムは、歴史的に形成されてきた完全な右システムです。左システムを受け入れる余地はないのです。左人間は、漢字システムを使う限り、たとえどれだけ慣れたとしても、不自然であり、いわば代償行為にしかならない。

 書字行為において、代償行為である限り、どんなに努力したとしても、100点満点で言えば、60点、70点のぎりぎりの合格点しかとれないでしょう。右利きであれば、満点近い点もとれるのに、左利きははじめから制約を受けているわけです。

 オーバーな言い方をすれば、健常者と障害者が同じルールでマラソンをするようなものです。両者がともにベストのパフォーマンスをしたとき、障害者はいつも不利です。これは明らかに不合理になる。

 ですから、左人間は、左文字を使うのが正しいのです。