2010年2月23日火曜日

左文字のすすめ④

〈なぜ左文字がよいのか

ではこうした問題に、左利きの人間はどう対処したらよいのだろうか。

 さいわい現在ではデジタル技術の進歩でパソコンが普及し、会社や役所のような社会的な場面では、手書きでなく、パソコンによる印刷字体を使用するのが一般的になった。これはタイプライターの歴史のある欧米と違って、日本語では初めてだろう。文字を使用する場面を、社会的な場面と個人的な場面に分けられるようになった。  

 

そこで、日記やメモ、ノートのような個人的場面では、通常の文字=右文字を左右に反転させた文字、つまり左文字を書くことを提唱したい。左文字を使用することによって、上記の一、二、三の問題を解消できるし、四の問題もひとつのストレスを除くことができる。なぜなら、左文字で、左利きの人間は書字行為に違和感がなくなるからだ。それどころか、文字を書く本来の喜び、楽しさが得られることになる。これは右利きの人間が右文字を書く状態と、まったく同じ条件になることだ。

社会的な場面では社会に通用する右文字を書き、個人的な場面では自分のために左文字を書く。つまり左利きの人間は、二つの文字を使う文字言語のバイリンガルになるのがよいだろう。

書道についても、左利きの人間は左文字を書くことによって、本来の芸術の活動として成立することになる。左利きでありながら書道の伝統文化に参加することができる。