2011年6月8日水曜日

左利きの女の子と書道

 先日テレビである書道家の書道教室でのエピソードが紹介されていた。

 教室に通う小学生の女の子は左利きだった。左手で書きづらい筆順で、つらそうに筆を操っている。書かれた文字もいらだっている。女の子は立ち上がって、先生の前に進んでいう。「先生、書道って右手で書かなければいけないのですか。」

 すると先生は答える。「いけないことはないけど、両手で書けたほうがかっこいいでしょ。」

 女の子はそれを聞いて、にっこり笑って自分の席に戻った。それからは右手を使って字を書くようになり、やがて周囲のどんな子よりも上達した字が書けるようになった。

 わたしはこの話を聞いて、複雑な気分になった。

 なぜ、左利きの人間は左手で書道を楽しめないのか、楽しんではいけないのか。という素朴の疑問が湧いてくる。こうした疑問がなぜしっかりとみんなに受け止められないのか。なぜ真摯に社会に受け止められないのか。

 どこか社会の対応に憮然とするところがある。

 左文字(ひだりもじ)を発想するのが、そんなに困難なのだろうか。