左文字を考える場合、ストロークという英語はいい言葉だと思う。
辞書で見ると、
1 ボートで、オールの一漕ぎ。
2 水泳で、手で水をかく動作。
3 ゴルフで、クラブでボールを打つこと。また、その打数。
4 テニス、バドミントンで、ラケットでボールを打つこと。
5 内燃機関など往復機関で、シリンダー内でピストンが一端から他端まで動く距離。
他にもペン画や鉛筆画で、線を描くことや、描かれた線の軌道をストロークという。
これらの意味の共通するところは、手や腕の動きや、その距離をいうのだろう。
これは文字を書く場合にもあてはまる。文字を書くことは、スポーツの動きと同じような運動になる。ボートの一漕ぎも、テニスのラケットでボールを打つことも、文字を書くことも同じ運動だということを、ストロークという言葉は、気づきさせてくれる。
漢字も、一画一画を書くとか、画数とかいうが、この一画もストロークといえるだろう。手を使いながらも、同時に全身を使うスポーツと同じ動きとしてのストロークだ。
ただし、運動のストロークと文字のストロークでは異なるところがある。運動の場合は左手と右手のストロークがおなじようにそして対照的に可能だが、文字の場合は不可能だ。なぜなら文字は右手のストロークでしかできないようになっているから。したがって左利きの人間には左文字が必要になってくるだろう。